tsuno流野球論

NPBのデータをもとにした、投手についての考察記事を主に書いていきます。

広尾晃氏の「球数制限」感想

広尾晃さんの

「球数制限」についての感想。

個人的な感想でいえば球数制限というルールを設けることは抑止力として有効である、と考えます。ただ、それはあくまで「抑止力」でしかありません。

このルールと目的を頭に入れたうえで指導者・父兄・学校やリトルシニア・外部が連携を取って競技者自身の心身の健康を第一に考えてこまめに話し合いながらスポーツを行っていくことが最大の目的であり目標であるのではないかと思っています。

 

僕自身、指導者としてアマチュア選手を教えたという経験はなく、あくまで一父兄、選手という立場でこのアマチュア野球と接点を持っていました。

その中で腰を壊し硬式からリハビリを経て軟式へ行ったり、行き過ぎた勝利至上主義で心を壊し登校拒否になったりなどそれぞれのカテゴリー、いろいろな境遇の中でたくさんの苦しみを見てきました。

自分自身もまた個を犠牲にして勝利のための最善策を取る、という教科書通りの野球をやらされていて、つまらなくはないものの決して楽しいと胸を張って言えるような野球人生ではなかったです。自分の場合は父親が監督だったためチームの模範、矢面に立つものとしてその指針に沿ったふるまいをしなければならないという側面もありましたが…。

 

さて話を戻しますが、この本でも多くの個所で触れられていた「小・中学生段階での意識改革」これこそが、いま議論になっている高校野球での球数制限よりも何倍も重要なものだと思っています。親御さんや各カテゴリの指導者も自分自身の身体ではないだけに初戦他人事。

なによりも教えている人たち自身の成功体験に基づいた教えをしているのがすべてで、その裏で怪我や心を壊して野球を離れた人たちのことは見ていないのではないか?

マチュア野球においては親御さんや父兄にかかる負担もまた非常に重たく、野球人口の減少を招く要因にもなっていると思われます。お茶当番や現地までの送迎、早朝から夜遅くまでの活動など。

意欲ある親御さんにとっては大したことないものなのかもしれませんが、野球人口の増加、底辺の拡大を図るにこんなハードルがあるのでは尻込みするのは尤もです。そしてなによりも、学生の本分でもある勉強に割く時間も、床について心と体をリフレッシュする時間も削られてよりストレスを消化しにくい環境になるのではないでしょうか。

このような環境下で、心身ともに健康で、アマチュアスポーツを楽しみ、のちの社会に出た際に、自身や社会に良い影響をもたらす人材を育成することができるのでしょうか…?

 

正直、個人的には小学生以前、幼児期における運動環境の少なさもまた非常に大きな問題であると考えています。今では公園や空き地、駐車場などはボール遊びとかいろんなものが禁止、禁止となり近くで遊べる場所がものすごく減っているな…と感じることがあります。同時にゲームなど室内で、身体を動かさずとも遊べるものが増え選択肢が広がったことも要因にありますが。その中で、身体を動かさなければ動かさないほど骨の強度が弱くなったりするのではないか…?と考えるようになりました。

これから、この世代の子供たちがどのくらいの頻度で、衝撃で怪我をするのか。

また、その怪我の重傷度は以前の世代と比べてどのくらいの違いが生まれるのか。

遊ぶ頻度を減らす(意図的に増やす)ことでどのような変化が起こるのか、そしてその後の小中学生とかの段階でどのくらい故障率・重傷度が変化するのか検証し、その後の幼年期からの子供たちの未来のために大人たちに何ができるのかを考える必要があるのではないでしょうか…。